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交通事故

第24回交通事故コラム 弁護士費用特約とは何か|使い方と注意点

交通事故に遭い、相手方の保険会社から示談金の提示を受けた——。提示された金額が適正なのか、どう交渉すればよいのか、そもそも何をすべきかさえわからず、ただ不安な日々を過ごしている方は少なくありません。とくに北海道・札幌では、冬道での追突事故や雪による視界不良を原因とした事故が多く、被害者が「気づいたら病院のベッドにいた」という状況も珍しくありません。そのような中で、複雑な保険交渉を一人で進めることは、心身ともに大きな負担になります。

そんなとき、多くの被害者の方を助けてきた制度が「弁護士費用特約」です。ご自身の自動車保険にこの特約が付いていれば、原則として自己負担ゼロで弁護士に示談交渉を依頼することができます。にもかかわらず、「自分の保険に付いているかどうかわからない」「使い方がわからない」「保険会社に嫌がられた」という声をよく耳にします。

また、2025年1月1日には、弁護士費用特約に関する費用算定基準(LAC基準)が改定・施行されており、実務上の取り扱いにも変化が生じています。この改定をめぐっては、保険会社の約款の更新時期によって適用基準が異なる場合があるなど、注意すべき点も出てきています。

今回のコラムでは、弁護士費用特約とは何か、どのような場合に使えるのか、使い方の手順、そして実務上の注意点について、交通事故被害者の方にわかりやすく解説します。

弁護士費用特約とは何か|基本的な仕組みと目的

弁護士費用特約の定義と役割

弁護士費用特約(「弁護士特約」とも呼ばれます)とは、交通事故などで損害賠償請求を弁護士に相談・依頼する際に発生する弁護士費用を、加入する保険会社が負担してくれるという特約です。わかりやすく言えば、「弁護士に頼む費用を保険が代わりに払ってくれる仕組み」です。

弁護士特約は、利用しても保険の等級や翌年以降の保険料に影響することもなく、大変メリットの大きい補償です。また、交通事故では、弁護士に依頼して示談交渉をするかどうかで賠償額に大きな差が出るケースも多くあります。費用の心配なく弁護士に依頼できることは、被害者にとって非常に重要な権利です。

この特約が特に重要になるのが、「もらい事故」と呼ばれる、自分の過失割合がゼロの事故です。自分に責任のない「もらい事故」では、保険会社は示談交渉ができません。これは、保険会社が示談交渉をすると弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)に抵触するためです。つまり、もらい事故の場合、被害者は自分自身で相手方と交渉するか、弁護士に依頼するしかないのです。

補償される費用の内容と上限額

弁護士費用特約で保険会社が負担してくれる費用の内容と上限額は、次のとおりです。

  • 法律相談料:上限10万円(1事故・1名あたり)
  • 弁護士費用(着手金・報酬金・実費等):上限300万円(1事故・1名あたり)

この特約を使うと、法律相談費用や、着手金・報酬金などの弁護士費用を一定額まで保険会社に負担してもらえるため、死亡事故や重い後遺障害が残った場合を除いた多くのケースで、実質自己負担0円で弁護士のサポートが受けられます。

また、弁護士特約に加入するための保険料は、年2,000円〜5,000円程度と比較的少額ですので、多くの方が弁護士特約に加入しています。

弁護士費用特約を使える対象者の範囲

自分の保険がなくても使える場合がある

弁護士費用特約は、ご自身が契約している自動車保険だけではなく、幅広い保険に付帯されている可能性があります。

弁護士費用特約は、自動車保険のオプションとして付帯していることが多いですが、火災保険や生命保険、クレジットカードなどに付帯している特約を利用できる場合があります。まずは手元の保険証券やカードの会員規約を確認してみましょう。

家族の保険も使える場合がある

ご自身が弁護士費用特約に加入していなくても、家族の保険を使える場合があります。弁護士特約の適用範囲は広く、契約者(被保険者)だけではなく家族も使うことができます。同居していれば6親等内の血族・3親等内の姻族まで対象となり、別居していても未婚の子であれば利用できます。

具体的な対象範囲をまとめると、以下のとおりです。

  • 契約者(記名被保険者)本人
  • 契約者の配偶者(別居でも可)
  • 契約者と同居している親族(6親等内の血族・3親等内の姻族)
  • 契約者の別居の未婚の子(例:一人暮らしの大学生の子など)
  • 契約車両に搭乗中だった方

また、この特約は、自動車を運転しているときの交通事故以外にも、歩行者や自転車で通行中に自動車に跳ねられた場合でも使用することができます。見落としがちな点ですので、ぜひ確認してみてください。

弁護士費用特約の使い方|手順を4ステップで解説

STEP1:まず特約の有無を確認する

事故後、まず行うべきは「自分(または家族)の保険に弁護士費用特約が付いているかどうか」の確認です。保険証券や保険会社のマイページ、または保険会社のカスタマーセンターに電話することで確認できます。弁護士費用特約は、自動車保険のほか、火災保険、クレジットカードに付帯しているケースもあるので、証券やWEBサイトのマイページ等で確認しましょう。

STEP2:弁護士に相談・依頼先を決める

特約の加入が確認できたら、相談する弁護士を探します。弁護士費用特約を利用する場合、自分で依頼する弁護士を選ぶことができます。保険会社が紹介する弁護士を選ぶ義務はなく、交通事故に詳しい弁護士であれば、ご自身で選んだ弁護士に依頼することが可能です。

STEP3:保険会社に特約利用の連絡をする

相談・依頼する弁護士が決まったら、保険会社に弁護士費用特約を利用することを伝えます。事前に連絡しておかないと、保険金支払いの際にトラブルが生じる可能性がありますので、注意が必要です。また、保険会社によっては、弁護士への委任前に事前承認(同意)を必要としている場合もあります。

STEP4:弁護士費用は保険会社から直接支払われる

保険会社への連絡と委任契約の締結が済んだら、通常は、保険会社から弁護士へ着手金などの弁護士費用が直接支払われます。また、弁護士による事件の処理が終了した段階では、その結果に応じて保険会社から弁護士へ報酬金が支払われます。依頼者(被害者)が弁護士費用を立て替える必要は基本的にありません。

弁護士費用特約が使えないケースと注意点

特約が使えない主なケース

弁護士費用特約は非常に有用な制度ですが、すべての事故で使えるわけではありません。弁護士費用特約は、「故意の事故」や「重過失がある」場合には使えません。具体的には、無免許運転や酒酔い(飲酒)運転、薬物の摂取、著しい速度超過、居眠り運転など、正常な運転が行えない状態で被害が生じた場合は、弁護士費用特約は利用できません。

また、台風、洪水、地震、噴火、津波などの自然災害による事故、あるいは暴動・内乱・戦争・テロなどによって発生した損害についても、弁護士費用特約の対象外となる可能性があります。

さらに、被保険者の過失が10割で事故の全責任が被保険者にある場合は、事故相手に損害賠償請求ができないため、弁護士費用特約を使用できません。

「使えない」と言われても本当は使えるケースがある

実務上、保険会社から「弁護士費用特約は使えません」と言われた場合でも、実際には使える可能性があるケースがあります。「自分にも過失があるから弁護士費用特約は使えない」と思い込んでしまう方がいますが、重過失でなければ、弁護士費用特約は基本的に使用できます。また、「物損だけ」「軽傷のみ」でも、示談交渉や示談内容に納得できない場合には、弁護士の介入が有効です。

保険会社が特約利用を嫌がる場合もありますが、保険会社は弁護士費用特約の使用に対して消極的な態度を示すこともありますが、特約の利用を諦める必要はありません。約款上で使用が認められる限り、弁護士費用特約は使えます。そのため、保険会社の都合ではなく、自身の利益を最優先に考えましょう。

担当者が保険約款を誤解して、利用できないと判断している場合もあります。しかし、現実には使えないケースは例外的であり、十分な確認が必要です。保険会社に「使えない理由」を書面で説明するよう求めることも有効な対処法です。

LAC基準の改定(2025年)と実務上の影響

LAC基準とは何か

弁護士費用特約を利用する際の費用算定には、「LAC基準」(リーガル・アクセス・センター基準)が重要な役割を果たしています。LAC(リーガル・アクセス・センター(Legal Access Center)の略)基準とは、日弁連と協定を結んだ保険会社が決めた、弁護士特約を利用した際の弁護士費用の算定基準です。

保険会社の中には、「LAC基準で受けてくれる弁護士でないと特約を使えない」と案内するケースもあります。ただし、自動車保険に付帯する特約であっても、基本的には弁護士は自由に選べます。LAC基準以外の弁護士に依頼できないわけではなく、費用の一部が自己負担になる可能性があるという意味合いで説明されていることが多いため、詳細は保険会社に確認することをお勧めします。

2025年1月施行の新基準の概要と注意点

経済的利益125万円以下の報酬金「最低20万円(税別)」は、2025年1月1日施行のLAC新基準で新設された規定です。それ以前は「経済的利益×16%」だったため、少額案件では報酬金が非常に少なく、弁護士側の労務との均衡を欠くとの指摘がありました。

ただし、この新基準の適用には注意が必要です。新基準の適用は、すべての協定保険会社の商品で一律・一斉に適用されるわけではなく、約款の改定時期により旧基準のままになっているケースもあります。ご自身の保険がどちらの基準で計算されるかは、弁護士に依頼する前に保険会社に確認することをお勧めします。

つまり、2025年1月以降に事故に遭った方でも、加入している保険の約款によっては旧基準が適用される場合があるということです。どちらの基準が適用されるかによって、弁護士費用の補償額に差が生じる可能性があるため、事前確認が欠かせません。

弁護士費用特約を特に活用すべきケース

以下のような場合には、弁護士費用特約を活用して積極的に弁護士に依頼することをお勧めします。

  • もらい事故(過失割合ゼロ)の場合:保険会社が代わりに交渉できないため、弁護士への依頼が特に有効です
  • 相手方の保険会社から提示された示談金に納得できない場合:弁護士が介入することで、弁護士基準(裁判基準)による増額が期待できます
  • 後遺障害の認定を受けた(または申請予定の)場合:等級認定や異議申立てにおいても弁護士のサポートが有効です
  • 相手方が任意保険に未加入の場合や、相手方との連絡が取れない場合:交渉が難航するため、早期に弁護士に委ねることが解決への近道です
  • 治療費の打ち切りを迫られている場合:保険会社からの一方的な打ち切り通知に対し、弁護士が適切に対応できます

万が一、損害賠償金を回収できなかったとしても、弁護士特約を使えば、弁護士費用の自己負担がかからないため、費用倒れの心配もありません。

おわりに

弁護士費用特約は、交通事故の被害者にとって非常に強力な味方となる制度です。ポイントをまとめると、以下のとおりです。

  • 弁護士費用特約とは、弁護士への相談・依頼にかかる費用を保険会社が負担してくれる特約(一般的に法律相談料10万円・弁護士費用300万円が上限)
  • 利用しても保険等級は下がらず、翌年の保険料も上がらない
  • 本人だけでなく、家族(同居親族・別居の未婚の子など)の保険も利用可能
  • 自動車保険以外にも、火災保険・クレジットカード付帯の特約も確認すること
  • 保険会社に「使えない」と言われても、約款上使える場合があるため諦めないこと
  • 2025年1月施行のLAC新基準は、約款の更新時期によって適用が異なるため、事前に保険会社へ確認が必要

当事務所では、交通事故被害に遭われた方のご相談を随時受け付けております。初回相談は無料ですので、一人で悩まずにまずはお気軽にご連絡ください。保険会社との交渉や後遺障害認定のサポートなど、経験豊富な弁護士があなたの状況に合わせた解決策をご提案いたします。

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